創業62年になるこの旅館は、めでたいことと楽しいことが大好きな祖母と、勝ち気で勝負事が好きな祖父が始めました。その後は母が継ぎ、祖母と二人で切り盛りしていました。私にとっては小さい頃からの遊び場で、配膳のお手伝いをしてお小遣いをもらったり、お客さまにお勉強を教えてもらったり、一緒にお食事に行ったり。とても大切な思い出が詰まった旅館を3代目として引き継ぎました。
仕事の大変さは、必死に働く母や祖母を見ていましたから、ためらいがなかったと言えば、うそになります。だけど、これまで積み重ねてきた歴史や、「ただいま」と言ってくださるお客さまの思いを考えると、やらねばと。夫の「やれるところまでやってみよう」の温かい一言にも背中を押されました。
屋号も「鶴屋旅館」から「お宿 TSURUYA」へ。旅人だけでなく、地元の人や国、性別関係なく気軽に訪れたくなるような場所にしようと、1階に「ラウンジ五円(ごえん)」を作りました。宿泊者の交流の場や、ワークショップも行っています。
1日のお仕事は、子育てと並行しながら朝から晩までこなします。経営の悩みも尽きませんが、ワークショップで知り合った女性経営者の皆さんからアドバイスをもらって励ましてもらうなど、人のつながりの大切さを知りました…難しさも(笑)。
せっかく佐世保に来ていただいたお客さまにも、いろんなご縁を感じていただきたい。私が実際に足を運んで良いなと思ったお店は必ずオススメしています。「料理も雰囲気も良かったし、お話も楽しかった」と感想をいただいた時はガッツポーズでした!
観光名所も良いですが、佐世保には魅力がいっぱい。人も、街並みも、お料理も丸ごと愛してほしい。「お宿 TSURUYA」は、そんな一期一会を大切にする場所でありたいと思っています。