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[移住者インタビュー]有田時間

やりたいことを全力で応援してくれるまち。有田町

有田町
株式会社M&J International 代表取締役
イ・ヒョジンさん
profile
陶器セレクトショップ&カフェ「Gallery Maison de Arita メゾンドアリタ」を経営
韓国出身のデザイナーで、いつかは焼き物づくりに携わりたいという想いがあったイ・ヒョジンさん。当時夫婦で住んでいた福岡からアクセスの良かった有田町を訪れた際、有田焼の造形美と深い歴史に衝撃を受け、佐賀大学芸術地域デザイン学部表現コースに入学。卒業後は貿易会社を立ち上げ、2023年に有田焼の窯元が立ち並ぶ皿山通りに陶器セレクトショップ&カフェ「Gallery Maison de Arita メゾンドアリタ」をオープンしました。
「有田は私ととても縁が深く、外国人にも優しいまちです」と語ります。

がんばる人を応援する、人の温かさ

日本最初の磁器が誕生したと言われる焼き物のまち、有田町。焼き物を学びたいという想いから佐賀大学へ入学し、このまちへやってきたヒョジンさんがまず実感したのは“人の温かさ”。

有田焼は朝鮮の陶工・李参平氏がルーツとされており、その歴史を知ったヒョジンさんはとても深い縁を感じたそう。在学中に制作課題の一環として作った「陶磁器製立体QRコード」は多くの人に認められながら数々の援助を受け、東京ドームでの展示という輝かしい実績を残すことができました。

また、陶器セレクトショップ&カフェ「Gallery Maison de Arita メゾンドアリタ」のオープン準備では老朽化し破れていた壁紙の張り替えをはじめとした内装工事や看板施工など、さまざまな縁が繋がり幅広い協力を得ることに。開店を迎えた日には祝福や応援の言葉が飛び交いました。

このような経験を経て、はじめは「佐賀市内の方が利便性が良いのではないか」と有田町への移住に難色を示していたヒョジンさんの旦那さんも決意を固めたそう。

「焼き物のまちだからか、皆さん芸術家気質。夢や目的を持ってがんばる人を、まち全体が応援してくれていると感じています」

歩いて見える景色がある。

歩いて見える景色がある。
李夫妻が懸念していた通り、バスの便数が少なく、車なしでは日常の買い物もままならない……。そんな田舎ならではの不便さが有田町にはあります。

しかし、自分の足で歩いてみることで、新しいまちの魅力を発見することができてどんどんまちが好きになっていくとヒョジンさんは話します。

「私のお気に入りの場所は陶山神社です。晴れている日は高台まで昇り、美しい街並みを眺めるのがとても好きです。朝一番のタイミングがとても気持ちいいですね。李三平氏の碑が建っているので、生まれ故郷を思い出して心が安らぎ、頑張ろうという気持ちになります」

「車では見落としてしまうけれど、歩けば見えるものが増えるから。不便なことも嫌ではありません。まずは有田に来て歩いてみればわかると、よく友達にも伝えているんですよ。歴史の古い建物や街並みを散策しながら食堂やカフェで食事やお茶を愉しんだり、神社で静かな時間を過ごしたり。歩けば歩くほど、魅力がどんどん見えてくるから不思議です」

有田焼を通じて人と繋がり、まちの魅力も発信していきたい

陶器セレクトショップ&カフェ「Gallery Maison de Arita メゾンドアリタ」は、有田焼のストーリーが感じられるクッキーやタンブラーといった気軽に手に取れるお土産や厳選した有田焼を通じて、特に若者や外国人に向けた有田焼の魅力発信を行っています。

カフェではコーヒーのほか、まち唯一ともいえる地元青果店で仕入れた旬のフルーツなどを使用したスムージーも提供しており、2階のカフェスペースで有田の街並みや通る電車を眺めながらゆったりと愉しむことができます。

まちの職員さんがわざわざ泉山磁石場から運んできてくれたという陶石を使ったテーブルの凛として力強い佇まいは、まるでヒョジンさんを応援しているかのよう。

カフェスペースでは随時ワークショップやイベントも続々実施する予定で、「有田焼を知ってもらうことと同時に、有田に来てくれた人たちがまちを周遊し、観光に繋がってほしい」というヒョジンさんの想いが込められています。

フランス語で“家”という意味も持つ「メゾンドアリタ」は、これからも多くの人が訪れ、県内外だけでなく海外に向けても、新しい風を吹かせる存在となるでしょう。

「海外と日本で、お互いに成長できるモデルを作ることができれば良いなと思います」。ヒョジンさんの挑戦は、まだ始まったばかりです。