[移住者インタビュー]平戸時間
釣り好きが高じて、サラリーマンから漁師へ。
平戸市
香川県から平戸市生月町へIターン
長崎県平戸市。平戸島の北西に位置する人口約6,000人の島、生月(いきつき)町。香川県出身の松村信宏さんは、3年前に奥さんと2人のお子さんと一緒に舘浦地区へ移住し、舘浦漁協の定置網漁業に従事しています。昔から海や魚が好きだったことや、小型船舶の免許を持っていたことから漁業に興味を持ち、県を通じて舘浦漁協との面談、現地での体験を経て就業を決めたそうです。
サラリーマンから漁師へ
これまで、営業や飲食、パソコン関係の職業を経験してきた松村さん。
なんとなく移住のイメージが湧いてきたのは4年前。「自然豊かな環境で、のびのびと子育てがしたい」と考えるようになり、長崎県が主催する移住相談会へ参加しました。
もともと釣りが好きな松村さんは、釣り人に人気の長崎県を視野に入れていたのです。
そこで、新たな仕事の選択肢のひとつとして出てきたのが「漁師」。
県の「ながさき漁業伝習所」の紹介を受け、舘浦漁協が行う「漁師体験」に参加し、定置網漁や船上でのロープワークなどを体験しました。
決め手となったのは、先輩漁師たちの人柄でした。「舘浦漁協は人が優しい。ここにして良かった」。
そして、移住を決断した2年後の2021年。準備を整えた松村さん一家は、平戸市の移住担当課から住まい探しや引っ越しの支援を受けながら、無事に引っ越しを終えました。
ハードだけど、メリハリのある仕事
漁師の1日はとてもハード。朝5時には起床、6時前後に漁港に集合し、乗組員の皆さんと朝食を囲んでから出港します。
8時から9時頃に帰港し、選別作業や網補修作業を行います。
入網状況により午後の操業が無い日もあったり、時化(しけ)や台風の日などは休みになることもあるそう。忙しい時期もありますがメリハリのある仕事です。
働いたあとは、漁協敷地内にある納屋で好きに集まって「乾杯!」。獲れた魚を味わいながら、その日の労をねぎらいます。
「毎日が過ぎるのが早いです(笑)。体力勝負ではありますが、やりがいもあります。皆さんと囲むご飯は美味しいです。なかでもやはり、魚は感動レベルですね」。
松村家の食卓に高級魚が並ぶこともしょっちゅうで、漁師の仕事が食育にも一役買っているのだとか。
休日の家族レジャーは、美しい生月大橋をわたって。移住4年が経った今でも、充実した毎日です。
ブランド魚であるシイラをPRしていきたい
平戸の秋の風物詩でもあるシイラ。舘浦漁協では、毎年「シイラヴフェスタ」を開催し、食やイベントを通じてブランド「とよひめシイラ」のPRに励んでいます。
松村さんのこれからの目標は、これらのブランド魚をより多くの人々に知ってもらうこと。
サラリーマン時代に鍛えたスキルを活かして、さまざまな方法を模索していきたいと話します。
ちなみに、松村さんの趣味は音楽。演奏家の一面も持つ松村さんは、「シイラヴフェスタ」のステージや、市外への客演でも大活躍。漁師としての仕事と趣味の音楽を両立しています。
奥さんやお子さんたちにとっても、祭りや行事などを通じて地域の人々との信頼が育まれているようです。
松村さんの爽やかな笑顔からは、そんな生月暮らしの楽しさが感じられました。